再会は、健康診断で。
でも、私もそうだったかな。私が平根への気持ちを自覚できたのは、認めたくはないけれど黒崎さんのおかげだ。
あの人の、恋のスパイスならぬ恋の劇薬がすごく効いた。
弓野さんにも使ってあげたいところだけど、いかんせんあれは黒崎さんにしか使えないし副作用も強そうだ。
できれば私は、あんな危なくて恐ろしい人にはもう関わりたくはない。
その夜、仕事を終えてから平根にメールを送る。
身体の心配と、頑張ってと、会いたいと打とうとしてそれはやめる。
かわりに好きだよと打って、送信してからベッドに寝転がる。
私、勝手だな。平根から逃げといて会えないとなったら会いたくてたまらなくなるなんて。
そのまま眠ってしまって、朝起きて平根から真夜中に届いていたメールを見てちょっと泣きそうになる。
『会いたい』
たった四文字のその文字が、平根も私と同じ気持ちなんだなと教えてくれて思わず携帯を抱きしめる。
平根も仕事をがんばっているんだから、私もがんばろう。そう思って起き上がって、仕事に行く準備を始めた。