再会は、健康診断で。

「俺も、めちゃくちゃ会いたかった。もう逃がさないから。かえ連れてすぐ帰りたいくらいなんだけど」


平根の気持ちは理解できるけど、弓野さんが心配だから帰るわけにはいかない。


弓野さんはやっぱり涙が止まらなかったみたいで、やっとその人が特別だと自覚したみたいだ。


「ごめん、弓野さんが心配だから。少しだけ待ってて。もう逃げないから、ちょっと行ってきていい?」


私をぎゅうっと抱きしめている平根を見上げると、平根は私のことを離してくれる。


「ん、いいよ。そういうところ好きだから。行ってきて、でも戻ってきてね」


念を押されて、本当に申し訳ないことをしたと反省ながら平根のそばを離れる。それから泣いている弓野さんに、ちゃんと連絡した方がいいって伝える。


私も平根から逃げちゃったりしたけど、平根は私のことを急かしつつも待っていてくれた。


弓野さんの相手の人も、弓野さんからの連絡を待っているんじゃないかと思う。


勇気が出ない弓野さんの気持ちも分かるから、どうしたものかと悩んでしまう。だけどそこで、思いもよらない展開が起こる。


弓野さんのお相手の方と三人の会社は同じ系列の会社で、その人は高倉さんと結城さんの旦那さんとは知り合いらしい。


< 166 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop