再会は、健康診断で。
「俺も、めちゃくちゃ会いたかった。もう逃がさないから。かえ連れてすぐ帰りたいくらいなんだけど」
平根の気持ちは理解できるけど、弓野さんが心配だから帰るわけにはいかない。
弓野さんはやっぱり涙が止まらなかったみたいで、やっとその人が特別だと自覚したみたいだ。
「ごめん、弓野さんが心配だから。少しだけ待ってて。もう逃げないから、ちょっと行ってきていい?」
私をぎゅうっと抱きしめている平根を見上げると、平根は私のことを離してくれる。
「ん、いいよ。そういうところ好きだから。行ってきて、でも戻ってきてね」
念を押されて、本当に申し訳ないことをしたと反省ながら平根のそばを離れる。それから泣いている弓野さんに、ちゃんと連絡した方がいいって伝える。
私も平根から逃げちゃったりしたけど、平根は私のことを急かしつつも待っていてくれた。
弓野さんの相手の人も、弓野さんからの連絡を待っているんじゃないかと思う。
勇気が出ない弓野さんの気持ちも分かるから、どうしたものかと悩んでしまう。だけどそこで、思いもよらない展開が起こる。
弓野さんのお相手の方と三人の会社は同じ系列の会社で、その人は高倉さんと結城さんの旦那さんとは知り合いらしい。