再会は、健康診断で。

連絡先知ってるから呼ぼうかと言った高倉さんの旦那さんに、呼ばなくていいと弓野さんは必死に首を横に振っている。

それを無視して三人でお願いして、その人が来ることになったところでほっとして平根のところに戻る。


私が戻ると平根は満足そうに笑って、また私を抱きしめる。先輩方の前で恥ずかしいからやめてほしいところだけど、あまりにも平根がうれしそうだからやめてとは言えなくなってしまう。


「平根もその人のこと知ってるの?」


「俺は、直接は知らない。でも、すごいかっこよくて優秀な人らしいから噂は知ってる。友達もいるし、尊敬してるって言ってた」


へえ、そんなにすごい人なんだ。どんな人なんだろうとそう思っていたら、現れたその人は本当にすごくかっこよくてサラッと弓野さんを連れていってしまった。


「本当に涙止まってたな。あの子、大変そう。めちゃくちゃ手がかかりそうだし。小塚課長、ああいうのがいいんだ。意外だな」


結城さんの旦那さん失礼なこと言ってるな。弓野さんかわいいし、美男美女でお似合いだったけど。


「あれが噂の小塚課長なんだ。めちゃくちゃかっこいい人ですね」


「俺も久しぶりに会ったけど、相変わらず若いわ。あれで今年四十歳だからな。高倉さんと五歳しか違わないとは思えない」


「お前、本当に一言余計。俺が老け込んでるとしたら間違いなくお前らのせいだからな」


高倉さんの旦那さんの言葉に苦笑いした平根が、私の手を掴んで立ち上がる。


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