再会は、健康診断で。
「いや、俺もまさかあんなに忙しくなるとは思ってなくて。結城さんにはいびられるし、本当に拷問だったわ。だから週末はずっと一緒にいようね」
その言葉に素直にうなずいた私に、平根が笑みを深くする。
「俺の家とかえの家、どっちがいい?」
別にどっちでもいいよと言った私の耳に、平根が唇を寄せる。
「かえの初めての場所になるんだから、かえが選んで」
平根のその言葉にかあっと顔が赤くなる。やっぱりそうなるよね。大丈夫、覚悟していた。
「……平根の家がいい」
「平根じゃないでしょ。名前で呼んでよ」
平根……航にそう言われて、私は恥ずかしいのを我慢して名前で呼んでみる。
「航の、家がいい」
「あー、超かわいい。がんばったかいあったかも。じゃあ、行こう。かえの家寄るから、場所教えて」
だけどこんな嬉しそうな顔の航を見ると、恥ずかしいのとか吹き飛んで、なんかもうなんでもよくなっちゃうな。
恋のパワーって偉大かも。うれしそうな顔のまま、車を運転している航の横顔を見ながらそう思った。