再会は、健康診断で。

「いや、俺もまさかあんなに忙しくなるとは思ってなくて。結城さんにはいびられるし、本当に拷問だったわ。だから週末はずっと一緒にいようね」


その言葉に素直にうなずいた私に、平根が笑みを深くする。


「俺の家とかえの家、どっちがいい?」



別にどっちでもいいよと言った私の耳に、平根が唇を寄せる。


「かえの初めての場所になるんだから、かえが選んで」


平根のその言葉にかあっと顔が赤くなる。やっぱりそうなるよね。大丈夫、覚悟していた。


「……平根の家がいい」


「平根じゃないでしょ。名前で呼んでよ」


平根……航にそう言われて、私は恥ずかしいのを我慢して名前で呼んでみる。


「航の、家がいい」


「あー、超かわいい。がんばったかいあったかも。じゃあ、行こう。かえの家寄るから、場所教えて」


だけどこんな嬉しそうな顔の航を見ると、恥ずかしいのとか吹き飛んで、なんかもうなんでもよくなっちゃうな。


恋のパワーって偉大かも。うれしそうな顔のまま、車を運転している航の横顔を見ながらそう思った。


< 169 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop