再会は、健康診断で。
その週、準夜勤だった俺が出勤すると、なんだか作業場が騒然としていた。なぜだか俺にすがるような目を向けてくる奴もいる。
「お疲れ様です。どうしたんすか?」
忙しそうに汗だくで働いていた高倉さんにそう聞くと、作業着で汗を拭った高倉さんが眉を下げる。
「急ぎの発注が入ったんだけどな、数が多くてフルでやってもきつい感じなんだよな」
え、マジか。どのくらいの発注か聞いて、俺は目を丸くする。それはやばい。俺が入ってからは聞いたことのない数の発注だ。
何年かに一度、こういうことがあるらしい。この不景気にありがたいことではあるけれど、きつい仕事になりそうだ。
「じゃあ、俺も仕事に入りますね」
まだ仕事の時間にはちょっと早い。この非常事態に少しでも効率があがればと思ってそう言うと、高倉さんはニコッと笑ってくれる。
「それは助かる。あ、平根……っと、もう遅かったか」
なぜか苦笑いしている高倉さんに首を傾げると、俺の首に長い腕が巻きつく。
「平根ー、よく来たな。高倉さんに話、聞いたんだろ? さっさと働け」
俺の首に手を回したのは悪い顔で笑った結城さんで、汗だくなところを見ると、現場に出てきているらしい。