再会は、健康診断で。

「お疲れさまです。なにかトラブルですか?」


俺がそう聞くと高倉さんは眉を下げてうなずく。


まあ、そうだろうな。製造一課のトップ二人が現場に来てるんだから、なにもないわけがない。


「ちょっと機械がな。でも、もう直った」


「準夜勤の奴らに楽させたな。その分みっちり働けよ、平根」


そう言って結城さんが、不敵な笑みを俺に向ける。ムカつくぐらい整った顔のこの人は、うちの課のNo.2である結城和弥さん。


ちなみに顔だけでいったら、うちの会社No.1のイケメンだ。


背が高くて顔も小さい。猫を思わせる綺麗な瞳にすっと通った鼻筋、薄い唇。本当に文句のつけようのないくらいのいい男だ。


弱冠三十五歳にして課長補佐の座に就いてるとても優秀な人なのだが、いかんせん性格が悪い。


この人も昨年結婚して大分丸くはなったけど、俺には丸さなんてひとつもない相変わらずのドSっぷりだ。


結城さんの奥さんも健診センターの看護師さんなんだけど、その溺愛っぷりがまた半端ない。



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