再会は、健康診断で。

俺と同い年の結城さんの奥さんは、ちっちゃくて目が大きくて髪とかふわふわで小動物っぽくてかわいいらしい。結城さんにはもったいないくらい、めちゃくちゃいい子だ。


その奥さんと出会う前はかなり遊んではいたけど本気の恋をしたことのなかった結城さんは、奥さんと出会って変わった。


結城さんが一人の女に嵌まるなんて意外だったけど、幸せそうでなによりだなとは思う。


俺には全っ然優しくないけどね。


「結城さん、相変わらず俺には厳しいっすね。まあ、いいです。今日は俺、なんでも頑張れます」


笑顔でそう言った俺に、結城さんと高倉さんは顔を見合わせてる。


「そりゃ、頼もしい。夜勤のリーダー、平根だったな。早いとこ引き継ぎして帰ったほうがいいんじゃないか。高倉さんも奥さんとお子さんが待ってるだろうし、結城も嫁さんに会いたいって騒いでただろう」


桐生課長が笑いながら髪をかきあげる。そういう仕草が決まっていてすごくかっこいい。高倉さんに負けず劣らず、この人も大人の魅力満載だな。


桐生将之課長は、今年四十三歳のうちの課のトップだ。


美人な奥さんがいるって聞くけど、この人は正直謎だ。あんまり無駄なことは話さないし、なんかミステリアスなんだよな。



< 20 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop