再会は、健康診断で。
「航、私に応援してもらうのが夢だったって言ってたでしょ? そのかわりになるなんて思ってるわけじゃないけど、航が甲子園に出ているところ見たいなって。だから教えて。航がそこでなにを考えていたのか、どんなことを思っていたのか。私の知らない航を、教えて。そしたら、その記憶に私も少しは入れると思うから」
かえの言葉に、感動して泣きそうになる。ああ、俺……ちゃんと愛されてる。かえは、俺のことをすごく大切にしてくれようとしている。
それがうれしくて、かえのことをぎゅうっと抱きしめた。
「わかった、今日はそうしよう。俺の甲子園の思い出にはかえがたくさんいるから、全部教えるよ」
試合でピンチを迎えたとき、マウンドからスタンドを見るのが癖だった。かえがスタンドにいてくれたら百人力なのにって、いつも思っていた。
我ながら痛いけどかえが応援してくれてるって、自分に言い聞かせてピンチを乗りきったことが何度もあった。それをかえに伝えても引かないでくれるだろう、多分。