再会は、健康診断で。
「起きよう、航。ご飯食べて、航の勇姿見て、お出かけしよう」
勢いよくベッドから起き上がったかえに、腕を引っ張られる。もうちょっとベッドの中でいちゃついていたかった気もするけど、こんなに楽しそうなかえを見たらそうも言ってられない。
こんなに喜んでくれるなら、デートに誘ってよかったな。これからいろんなところにふたりで出掛けて、たくさん思い出を作ろう。
妄想なんかしなくても、もうかえは俺の隣にいてくれるのだから。
長い髪を揺らして、寝室からリビングに向かうかえの後を俺も追いかける。
キッチンに入ろうとしているところを捕まえて、背中からぎゅうっと抱きしめる。
「好きだよ、かえ」
何度伝えても言い足りないその言葉を囁くと、かえが俺を振り返ってにっこりと微笑んだ。
「私も、好きだよ」
かわいい笑顔とその言葉にうれしくなって、そのままキスをする。
キスをしながら、まずは野球のルールを教えないと思う。俺が好きなものを、かえにも好きになってほしいから。
かえが野球を好きになってくれるかは、俺にかかってるのか。なかなか責任重大だ。それからかえの好きなものを教えてもらおう。
俺たちはまだ、始まったばかりなのだから。