再会は、健康診断で。

「平気だよ。なんせ夢の国だし、仲の良い恋人同士のハグなんてみんな気にしないよ」


そ、そうかもだけどまだ夢の国の中じゃなくて駐車場なんですけど。


それを指摘すると、航は「そうだった」と言笑いながら私の手を握る。


「じゃあ夢の国に行こうか、かえ」


「うん」


その手を握り返して微笑んで、ふたり並んで歩き出す。


海をテーマにした日本一有名なテーマパークであるその場所は、いつも通りすごい人であふれかえっている。


私は一年前に来た時が初めてで、すごい人の多さに驚いたっけ。


入り口のところにある地球儀を見て思い出す。


ここで黒崎さんに、うまくいきましたっていう報告メールに添付する写真撮ったなぁ。


黒崎さんからどうなってるのっていうメールがきて、返そうとしたらそれに気づいた航が思いっきり見せつけるような写真送るって言い出して、ここで写真を何枚も撮った。


これはかわいすぎるからダメとか、俺がかっこよく写ってないとか、そんなことを真剣な顔で言っている航がおかしくて、笑いが止まらなくなりながらたくさん写真を撮った。その中から航が悩みに悩んで選んだ一枚を黒崎さんに送った。


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