再会は、健康診断で。

「なんかすごい懐かしいんだけど。俺、一年前の今頃は、かえが彼女になってめちゃくちゃ浮かれてた。めっちゃベタベタしてたよね、俺」


同じことを考えていたらしい、航の言葉にぷっと吹き出す。たしかにすごいベタベタされて、とんだバカップルで恥ずかしかったな。


「そうだね。そう思うと成長が見られるね」


大分落ち着いたかも、なんて思って笑った私を航がグイッと引き寄せて顔を覗きこんでくる。


「かえもね。前はこんなにふうにしたらすぐ真っ赤になってたのに、赤くならなくなったもんね」


「んー、くっつかれすぎて新鮮味がなくなったかもね」


クスッと笑った私に、航が焦った顔で抱きついてくる。


「え、なにそれ。飽きたってこと!? 俺に!?」


本気で焦っている航がおかしくてたまらないけど、ちょっと可哀想かな。


「嘘だよ。航にくっつかれないと寂しい」


眉を下げて泣きそうな顔をしていた航が、私の言葉にわかりやすく表情が明るくする。


航のこういう素直なところ、かわいいなと思う。素直で裏表のないところが航の最大の長所だと思う。


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