再会は、健康診断で。

「か!……ぇ」


ぐりぐり顔を押しつけてこようとした航の顔を押し退けると、航が変な声をあげてちょっと傷ついた顔をする。


自分の気持ちに正直すぎるところは、短所でもあるよね。ところ構わずなのは、ちょっと困るときもある。


「ひどい、かえ」


「ひどくない。こんなところでぐりぐりしようとしないでよ」


そう言うと航は顔を離して、苦笑いを浮かべる。


「かえも随分俺の行動パターン読めるようになったね」


「そりゃ、ね。一年、彼女やってればね」


行動パターンも読めるようになるよね。一年間でかなり航のことを理解できまと思う。


「それ結構うれしいね。やっぱり俺にはかえしかいないな。行こう、かえ。俺、朝ごはん食べたい」


「ホタテバーガー?」


「そう。さすがかえ、分かってるね。かえもクラムチャウダー食べたいでしょ」


その言葉に笑顔でうなずいて、また航と手を繋いで歩き出す。航もこの一年間で私のことを大分分かってくれているよね。


この一年間、ふたりでたくさんの時間を過ごしてきた。一緒に過ごせなかった時間を埋めるように、いろんな話をして、たくさんの想いを交わしてきた。


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