再会は、健康診断で。
「うん。航がいない人生なんて、もう考えられない」
航にいじめられていた孤独な九年間さえも、今では愛おしい大切な思い出だ。
航が教えてくれたから。あの頃の思い出に、航の“好き”があふれていたことを。
私の幼い頃の思い出にはどこにだって航がいて、私への好きがあふれている。
そしてこれからの人生にも航がいて、あの頃よりももっと大きな愛を私にくれている。
あの頃は航の隠された想いに気づけなかったけど、私はもうそれを知っているから……。
これからたくさんの愛を、航に渡していこう。
「かえ」
名前を呼ばれて顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべた航と目が合った。
「久しぶりだから、泣いてるかえもかわいいけどね。やっぱり笑ってる顔が一番好きだから。だから笑って、かえ」
頬を包まれて航しか見えなくて、それがとても幸せで私は微笑んだ。
航の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
こんな場所で、とか人がいるとか、そんなことどうでもよくなってしまって航の背中に手を回す。
私も今、航とキスがしたい。
唇が重なって、間近で見つめ合った私たちはクスクスと笑い合ってまた唇を重ねた。