再会は、健康診断で。

「そのへんにしといてやれよ。俺は、口説いたりはしてないな。俺も歩も、最初からお互いに好意もってたし」


高倉さんになだめられて、結城さんがやっと俺のことを離してくれる。鈍痛の残る頬を撫でながら、高倉さんを見るとあきらめたようにため息をついて高倉さんが歩さんとのなれそめを話してくれる。


「健診で見てるときからよく目も合ってたし、俺はずっと歩のことが気になってた。そしたら本屋で偶然会って、昼飯に誘って連絡先交換して会うようになったんだよ。俺、バツイチなうえに年上だし、いろいろあったから、なかなか踏み込めなかったんだけど。そしたら結城が歩にちょっかい出してきて、やっぱり他の男にとられるなんて無理だと思ったから好きだって伝えて、次の日にはプロポーズだよ」


「やっぱり俺のおかげじゃないですか。高倉さんと違って、歩ちゃんは全然迷いがなかったですしね。即答で高倉さんのほうがいいって言われたんですから」


へえ、そうだったんだ。でも、お互いにいいと思ってたとか、本当に運命的だな。すごく仲がいいし、いい夫婦って感じだもんな。娘のほのかちゃんも、めちゃくちゃいい子に育っている。


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