再会は、健康診断で。
「なんで分かるんですか? マジ怖いっすね、結城さん」
軽く引いている俺に、結城さんが呆れた顔をして頭を叩いてくる。
「いてっ」
「バーカ、お前が分かりやすすぎるんだよ。俺じゃなくても分かるわ」
結城さんの言葉に、高倉さんと桐生課長も笑いながらうなずいている。
「まあ、仕事さえきっちりやってくれるなら俺はそれでいいけどな。じゃ、あとは頼んだ。よろしくな」
表情を緩めた桐生課長が、タバコの箱をポケットから取り出しながら作業場を出て行く。
「お疲れ様です」
その背中に声をかけると軽く手を上げて答えてくれた。
うーん、かっこいいなぁ。
桐生課長は若い男にはない魅力を持ってるわ。あれが妻帯者の余裕ってやつなのかね。
「じゃ、俺達も帰るな。さすがに疲れたわ」
「たしかに。あー、早く千紗に会いたい。寝ちゃってるだろうな。じゃあな、平根」
高倉さんと結城さんも俺の肩を高倉さんは優しく、結城さんは思いっきり叩いて作業場を出て行った。