再会は、健康診断で。

「かえちゃんは彼氏とかいないの?」


ため息をつく私にそう聞いてきた高倉さんに、私は慌てて首を横に振る。


「い、いませんよ。私、男の人ってちょっと苦手なんですよね」


そう言った私に、高倉さんは目を丸くする。


「え? かえちゃんも?」


え? もって、他にも誰かそういう人がいるの?


「千紗ちゃんもね、結城さんとお付き合いするまでは男性恐怖症ぎみで。声かけられたり触られたりすると怖くて震えちゃう感じだったの。結城さんと付き合い始めたのも、それを治す練習っていうのが始まりだったみたいでね」


結城さん、そうだったんだ。一緒に健診行ったりしているのに、全然気がつかなかった。結婚してるし、今はもう克服したのかな。


でも私とはちょっと違う感じだな。話すのも触れられるのも平気だし、怖いっていうわけではない。


「私、小学生の頃ボス的存在だった男の子にずーっといじめられてて、小・中学校の頃は友達もいなかったんですよ。それがちょっとトラウマになってて、いまだに男の人が苦手なんです」


高倉さんにそう話すと高倉さんはそうなんだ、とうなずいてからにっこりと優しい笑顔を私に向ける。


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