再会は、健康診断で。

高倉さんの笑顔って、その場を和ませるようなそんな魅力があるな。


なんだか高倉さんがそばにいてくれるだけで、ほっとする。


「その男の子、かえちゃんのことが好きだったんじゃない? いじめてたことを後悔してるかもよ」


そう言われて、一ヶ月前に再会した平根の顔が脳裏に浮かぶ。


私に会えて嬉しいと満面の笑顔を向けていた平根の顔を、怯える私を見て眉を寄せた平根の顔を思い出してちょっとだけ胸が痛む。


また来ると言っていたけど、私があの病院を辞めてしまったことに、きっと気がついただろう。


それに気づいたとき、平根はどう思ったんだろう。


そこまで考えて、私はため息をつきながら少し頭を振った。


あんな奴のことを考えるのはやめよう。もう会うことはないんだし、こんなこと考えてたって仕方がない。


そう思って私は午後の健診の準備をするべく立ち上がった。


午後の健診が始まると、午前中ほどは人が来なくて少し余裕がある。


腹囲のカーテンの中にからお客さん、来ないのかなと思って顔を出すと、血圧のところで高倉さんと親しげに話している人がいることに気づいておや、と思う。


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