再会は、健康診断で。
だってばっちり目が合って、平根の目がびっくりしたように見開かれていた。
「西……川、だよな」
平根が背を向けている私の肩を掴んで、強引に振り向かされる。
思いのほか、真剣な顔をした平根と目が合って身動きがとれなくなる。
「本当に西川だ。やばい、もう二度と会えないかもと思ってたから……すごい嬉しい」
こないだと全然違う静かな口調でそう言って、ふわりと微笑んだ平根に、ドクンと胸が高鳴る。
そんな笑い方をするとか、反則だ。
固まったまま動けない私を引き寄せた平根に抱きしめられて、こないだと同じ香水の香りが私を包み込む。
平根が持っていた健診の問診表が、バサリと音をたてて床に落ちた。
「西川、俺……西川のことが好き。ずっと好きだった。西川、すごい好き」
熱に浮かされたように「好き」という言葉を繰り返す平根の手が私の頬に触れて、顔が近づいてくる。
なにが起こったのか、理解するまでにしばらく時間がかかった。
視界を占めるのは焦点が合わないくらい間近にある平根の顔。
唇に感じる濡れた柔らかい感触。
キスされていると理解して、平根の身体を押し返そうとするけど逆に頭を抱え込まれて角度を変えて何度もキスされる。