再会は、健康診断で。

「なら良かったです。では、今後のスケジュールと赤ちゃんのお世話についての説明をしますね。説明の担当をさせていただきます、西川と申します」


「西川……? やっぱり、西川だよな」


いつもの手順で説明をしていると、ソファーに座っていた旦那さんが立ち上がって私の両肩を掴む。


え、な、なに? 旦那さんと私、知り合い? でも、上田さんなんていう知り合い、いたかな。


うらやましくなるくらい、くりっとしたパッチリ二重。黒目が大きい少しタレ目がちな瞳は、なんだかすごくキラキラしている。


すっと通った鼻筋に、口角の上がった唇が印象的で、なんとなく人懐っこさを感じさせる。


こういう顔を犬顔っていうのかな。かっこかわいい系の顔の、いかにもモテそうな人だ。


私を見つめているその人のことを見つめるけど、全然誰だか分からない。



肩を掴まれたまま、目を丸くしている私にその人は満面の笑みを向けてくる。



だけど、こんな人は知り合いにいない。大体、私……男の人ってどうも苦手で、男友達さえいないんだけど。
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