再会は、健康診断で。
だって、ひどすぎる。ファーストキスだよ、それってすごく大事なものでしょ。シュチュエーションとか、ムードとか。
こんな意味わかんない場所でされるとか、信じられない。
「お前な……。とりあえず行け。昨年の値でも適当にいれてもらえばいいんじゃん。俺、歩ちゃん呼んでくる」
その人が平根の背中を押して、腹囲のカーテンの中から出て行って、ひとりになったことに少しホッとする。
いまのうちに落ち着こうと深呼吸を繰り返す。私の意思に反して、涙はなかなか止まってくれない。
だって、すごくショックだもん。そう簡単には切り替えられない。
少しすると高倉さんとその人が戻ってきて、高倉さんは泣いている私を見てびっくりしている。
「どうしたの、かえちゃん。大丈夫?」
そう聞かれると、全然大丈夫ではない。仕事中なんだからなんとかしようと思えば思うほど、涙があふれてきて息苦しい。
「うー、高倉さん」
ボロボロと子どもみたいに泣いてる私に、高倉さんが眉を下げて背中をなでてくれる。