再会は、健康診断で。
「平根がやらかしちゃったみたいで。なんかその子が、こじらせてる初恋の相手みたい」
「え!? じゃあ、かえちゃんが言ってたずっといじめられてた男の子って、平根くんなの?」
目を真ん丸く見開いている高倉さん聞かれて、私はコクリとうなずく。高倉さんと平根も知り合いなんだ。
旦那さん関係でなんだろうな。そしてやっぱりこの人が、結城さんの旦那さんなんだ。
「とりあえず涙止めないとね。あ、結城さんの腹囲も測らないと」
「平根もまだ測ってないみたいなんだけど、今はあいつの顔見たくないよね?」
結城さんの旦那さんに聞かれて、私は素直にうなずく。怒ってるのと恥ずかしいのと悔しいのと悲しいのと、とにかく感情がぐちゃぐちゃだ。こんな状態でその元凶の顔を見たくはない。
だよね、と笑った旦那さんが高倉さんに「適当に入れてよ」と言ったのを高倉さんにたしなめられている。いや、怒られてる?
さすがに健診センターの職員として精度管理上それをするわけにはいかないよね。
「じゃあ、心電図の所で私が測ってくるから。結城さんはちょっと待っててね」
高倉さんが腹囲を測るメジャーを持ってカーテンから出て行く。それを見送って、小さなため息をついた。