再会は、健康診断で。

「平根がやらかしちゃったみたいで。なんかその子が、こじらせてる初恋の相手みたい」


「え!? じゃあ、かえちゃんが言ってたずっといじめられてた男の子って、平根くんなの?」


目を真ん丸く見開いている高倉さん聞かれて、私はコクリとうなずく。高倉さんと平根も知り合いなんだ。


旦那さん関係でなんだろうな。そしてやっぱりこの人が、結城さんの旦那さんなんだ。


「とりあえず涙止めないとね。あ、結城さんの腹囲も測らないと」


「平根もまだ測ってないみたいなんだけど、今はあいつの顔見たくないよね?」


結城さんの旦那さんに聞かれて、私は素直にうなずく。怒ってるのと恥ずかしいのと悔しいのと悲しいのと、とにかく感情がぐちゃぐちゃだ。こんな状態でその元凶の顔を見たくはない。


だよね、と笑った旦那さんが高倉さんに「適当に入れてよ」と言ったのを高倉さんにたしなめられている。いや、怒られてる?

さすがに健診センターの職員として精度管理上それをするわけにはいかないよね。


「じゃあ、心電図の所で私が測ってくるから。結城さんはちょっと待っててね」


高倉さんが腹囲を測るメジャーを持ってカーテンから出て行く。それを見送って、小さなため息をついた。





< 41 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop