再会は、健康診断で。

2


「はあ……」


初恋の相手、西川かえとの再会から一ヶ月。俺は人生最大の絶望の最中にいた。


あの日、しゃかりきに働いて無事にノルマを終えて日勤に出てきた高倉さんに誉められた俺は、妹が出産して入院している病院にルンルン気分で向かった。


妹似=俺にも似ている甥っ子と初対面したあと、俺は西川がそこの病院を辞めたことを知り天国から地獄に突き落とされた。


さすがに昨日の今日だったから、俺と再会したからって訳ではないのは分かっているけど、それでも今も嫌われていることは間違いない。


こんなことならあのとき、妹の忠告を聞かずになんとかしておくべきだった。


西川って、俺のせいで仲のいい友達もいなかったから同級生に連絡先を知ってる奴もいないんだよな。


自業自得だ。やってきたことって、本当に自分に帰ってくるんだな。いじめてた罰があたったんだ。もう、八方塞がりだ。


「お前な、そんなため息つきながら飯食うなら違う席行けよ。鬱陶しい」


眉間に皺を寄せて心底鬱陶しそうな顔の結城さんに、言い返す元気もない。

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