再会は、健康診断で。
「ちょっと、お兄ちゃん。看護師さんになにしてるのよ。恥ずかしいからやめて」
困惑してる私に、上田さんが焦った顔をして止めに入ってくれるけど、お兄ちゃんてことは兄妹?
旦那さんだと思ってたけど、そういえば顔がよく似ている。
「めぐ、西川だよ。西川かえ。うわー、マジか。なんか運命感じるんだけど」
それはたしかに私の名前だ。なぜか感激した様子で、マジマジと私のことを見つめているその人に、私は首を傾げる。
え、本当に誰だか分からないんだけど。混乱している私の耳に、さらに信じられない言葉が聞こえてくる。
「え!?西川かえさんて、お兄ちゃんがこじらせてる初恋の人!?」
は、初恋!? もう頭の中はパニックの私に、その人はにっこりと微笑む。
「俺、小学校と中学校の同級生だった平根航(ひらね わたる)だよ。覚えてない? あー、でも俺は会えてマジ嬉しい」
そう言っていきなりガバッと抱きつかれて、その人の腕のなかで私は固まる。
ふわりと香水なのか、いい香りが鼻腔を掠めた。