再会は、健康診断で。
平根航って……あの、平根航?
私の記憶の中の平根と、今、目の前にいる平根と名乗るその人が重ならない。だけど、たしかにその顔には、あの頃の面影が残っている気がする。
二つ年下の妹がいたことも知っているけど、まさかこんなところであの平根に再会するとは思わなかった。
……なんて、最悪なんだろう。私はずっと、この男のことが大っ嫌いだった。その感情は、今も変わっていない。
「ちょっと……離れてください」
私に抱きついている平根の身体を押し返す。ニコニコとうれしそうな笑顔で顔を覗きこまれて、私は困惑して眉間にシワを寄せる。
「西川、看護師になってたんだ。すげぇ、かわいくなってるし。ねえ、携帯の番号教えてよ。彼氏いたりする?」
なんだかやたら顔を近づけてくる平根に、私の顔が引きつる。
え、平根って、こんなに愛想が良くてニコニコしている奴だったかな。顔は面影があるけど、性格が全然違う気がする。