再会は、健康診断で。
「えー、高倉さんは読めてるじゃないですか。あれですか、愛の力ですか?」
「お前、気持ち悪いこと言うな。慣れだ、慣れ。お前が書いたメモ、みんな俺のところに判読してくれって持ってくるんだよな。それでも読めないときあるからな。まったく、迷惑な話だ」
たしかに結城さんの字は元々汚いうえに左利きだからか、変な癖があってものすごく読みづらい。
そして恐らく、読みやすく書こうという意識がまったくない。
「勉強出来るやつって、案外字汚いんだよな。平根はまさか読める字で手紙書いたんだろうな?」
高倉さんの言葉に俺はコクコクとうなずく。俺なりに丁寧に書いたから読めるはずだ、多分。
「俺、いくら千紗のためでも手紙は書けないな。メールもほとんどしたことないのに。電話のがいいわ、声も聞けるし」
いや、俺はそれが出来ないから手紙を書いているわけなんですけどね。俺だって出来るなら電話とかしたいですよ。
わかってて言ってるな、この人。本当にいい性格してるわ。