all Reset 【完全版】
「尋乃ちゃんも受かったって!」
亜希のその一言から話は始まった。
俺が無事大学に合格したという後日。
亜希と秀が合格を祝うとセッティングしてくれて、三人で集まってたときのことだった。
「尋乃ちゃん高校入学して、良ちゃんに一目惚れだったらしいよ?」
亜希と尋乃は部活の先輩後輩という仲で、たまたま亜希がひいきするように可愛がっていた後輩だった。
俺ら三人が卒業した日。
俺は前触れなく尋乃から手紙をもらった。
その当時は、たまに亜希と一緒にいる子だなってくらいしか俺の中に知名度はなくて、名前も知らない人物だった。
手紙の中身は、いわゆる“ラブレター”ってやつだった。
そして、最後の文はこうだった。
先輩と一緒に
大学進学できるように
わたしも頑張ります
もちろん、返事は保留にした。
その後、俺は受験生として余計なことを一切考えない日々を送った。
一年が経って大学合格の喜びを噛み締めているそんな中、忘れかけていたその話が掘り返されたのだった。
思い出してから考え直しても、俺は断るという選択しか出てこなかった。
でも、
「すごくいい子だからさ」
って亜希は言った。
まるで、断ることは選択肢に入れないでほしいと言わんばかりだった。