all Reset 【完全版】
「とにかくさ、亜希を知ってる奴には、なるべく会わねぇ方がいいよな? 今んとこは」
「お前の彼女とか?」
「は?」
さらっと思い付きみたいに言われて、俺はつい間抜けっぽい反応をしていた。
結局夏休みの間、尋乃とは会ってない。
あれだけ遊びに行きたいと言ってただけあって、連絡は何回もきた。
でもその度に理由をつけては断り、今に至ってたりする。
事実、夏休みに入ってからは引っ越し屋のバイトも日数を増やしていたし、それが無ければ高校のバスケ部に顔を出したりしていた。
でも、予定が無くても尋乃とは会う気がしなかった。
俺の中で、この付き合いはもう時間の問題だった。
今すぐにでも別れると言っても構わない。
嫌いになったとか、冷めたとか、そんなんじゃない。
好きだという気持ちが始めも今も無いだけ……。
ここまできたのだって、結局は亜希が間に挟まってたからで、今はそれも無いに等しい。
尋乃と別れようと、今の亜希は何も言わない。
あとは、タイミングだけの問題だった。
「俺さ……マジで別れようと思ってるから」
変な間の後、俺は宣言するみたいにそう言った。
それを聞いた秀は『ふ~ん』という意味みたいに軽く数回頷く。
「……何か言えよ」
コメントなしですか?
ほとんど無反応な秀にそうツッコミたくなる。
すると秀は「いいんじゃねーの?」と、どうでもよさそうに返事をし、差し掛かった路面店へとスタスタ入っていった。