all Reset 【完全版】
「で、お前どうすんの?」
その話題に対し、秀はまるで他人事のように訊いてくる。
サラリとされたその問いに、俺はわざと“え?”って顔をするしかなかった。
できればとぼけて流したい気分だった。
でも……。
「まさか、断らないでしょ?」
俺が反応する前に亜希は決め付けるようにそう言った。
グサ。
俺の心臓に何かが突き刺さる。
「え? 何で?」
「何でって、断る理由がないじゃん」
極めつけにはきっぱりとそう言い、おまけに「今、彼女いないでしょ?」と、付け加えられた。
彼女はいない。
でも……
俺には好きな女がいる。
「いや、いないけどさ……」
「だったらいいじゃん!」
話を続けようとしたのに、亜希は俺の言葉を簡単に遮る。
「わたしもさ、ずっと話聞いてきたし、応援してあげるって尋乃ちゃんに言ってたからさ。ねっ、お願い!」
なんて、顔の前で手を合わせてみせた。
そういうことってさ……お願いするもん?
俺はそう思った。
それと同時に、亜希にそう言われることが何よりも切なかった。