all Reset 【完全版】
亜希は怖くて立ち上がってた。
でも、目の前にすっごく大きな黒い人がきて、片方の目をパチってつぶって笑っていったんだ。
違う国の人みたいだった。
怖くて……動けない……。
ここはどこなの?
どうやったらおうちに帰れるの?!
「おーっと、どこ行っちゃうわけ?」
亜希をここに連れてきたあの人が戻ってきた。
亜希の手をギュッて強く引っ張る。
「痛いっ、痛いよ! 帰る、帰りたい! 良平くんが待ってるから!」
その人を見てると目がゆらゆらしてきた。
頬っぺたに、ぽろぽろ何かがいっぱい落ちてくる。
「ダメ。一人じゃ帰れないよ? それに……俺のこと思い出すまで帰れないから」
その人はまた笑って亜希に顔を近付けてきた。
……いやっ!
怖い、怖いよ!
怖くて怖くて、目をぎゅっと閉じた。
地面にしゃがみ込む。
「思い出すって……今日、ずっと一緒にいるんだからさ」
うるさい音がしてるのに声が耳のすぐ近くで聞こえる。
首の後ろがぞわっと変になった。
「良平くんは?! どこにいるの?!」
「だからぁ、そいつなら来ねぇって言ってんだろ?! どこにいるかも知らねぇよ!」
こわい!
たすけて!
だれか……たすけてっ!
「……誰が来ねぇって?」
えっ……?
目を開けると、亜希の前に白いスニーカーが見えた。