all Reset 【完全版】
その帰り道。
用があるという亜希と別れて、俺は秀と二人帰り道を歩いた。
「その気がないなら断れよ」
秀のストレートな一言に俺は何も言えなかった。
「亜希が頼んでるからか?」
「まぁ……それもある」
「亜希も……何もわかってないんだな」
その言葉の後には、
“お前の気持ちを”
って意味が含まれてるって、俺は言われなくても理解した。
秀は、俺の気持ちを知っている。
でも、俺はそれを認めたりはしない。
絶対に。
「アイツ、押しつけがましいんだよ。最悪な女」
強がって、俺は亜希のことを悪く言っていた。
「まっ、あの子かわいいし、悪い気しないけど」
啖呵を切るように言ってみたけど、秀は薄笑いを見せるだけだった。
その流れで、俺は結局、尋乃と付き合うことになった。
今でも、どうしてこうなったかわからない。
亜希は付き合ったことに満足していて、秀はそのネタ自体に触れてこない。
自分が一体どうしたいのか、俺自身わからなくなっている。