all Reset 【完全版】
「ごめん、なさい……」
「あ、ごめん、違うんだ」
謝らせるつもりなんてなかった。
勝手にいなくなったのは亜希の意志なんかじゃないし、亜希は悪くない。
今になって、見付けられなかったらどうなってたんだとか、急激な不安に駆られてくる。
「怖かったの……良平くんのお友達だって、良平くんも来るって、言ったからね……亜希……」
言いたいことが上手くまとまらず、亜希の言葉はしどろもどろ。
それでも必死に伝えようとする姿に切なさが込み上げてくる。
何だか、亜希が物凄くちっちゃく見えた。
このまま消えてなくなりそうな、そんな気すらする。
「もう、いいよ……いいから」
気付くと、ほとんど無意識のまま亜希を抱き締めていた。
華奢な身体から泣いている呼吸の乱れが伝わってくる。
その全てが、亜希が今、ここにいるって実感させる。
「帰りたいって、良平くんに会いたいって……ずっと、ずっと思ってたの……」
背中に回った亜希の腕が、不安をかき消すみたいにギュッと力を込めてくる。
そんな亜希を、俺は安心させるように更に強く抱き締めた。
「……もう、大丈夫だから」
二度と、絶対……
こんなこと誰にもさせない。
心の中で再度誓う。
亜希が呼べば俺に伝わるような、そんな都合のいいテレパシーがほしいと思った。
もう……泣かせたくない。
亜希は俺の腕の中で、いつまでも涙を流し続けていた。