all Reset 【完全版】
「……じゃないの?」
「有り得なくね?」
寄り掛かっていた背中を起こし、眉間にしわを寄せて良平は言う。
「……まぁ、確かに」
「見たことあんだろ? スダって奴」
「何回かな」
「どうだったよ?」
「どうだったって……チャラ男って感じだけど」
「……だよな」
俺のコメントに満足したのか、良平は鼻で笑って頭をゴツンと壁につけた。
実際、俺は須田って人間を知らない。
見た目で人を判断するのはどうかと思うけど、やっぱり人間どうしたって見てくれで人を判断しがちだと思う。
須田だって、もしかしたら亜希に本気だったのかもしれないし、未練があったのかもしれない。
それは、いくら考えたって俺にはわからないことだ。
「きっかけは?」
だるそうに首を回しながら良平は訊く。
「きっかけ?」
「おぅ、何で亜希とアレが付き合ったわけ? 意味わっかんねぇ」
「……気まずくならないように、とかそんときは聞いたけど」
「気まずい? 何が」
「サークルがだろ」
「は?! それだけ?」
「たぶん……」
「ハァー……」
亜希から前に聞いた事情を話すと、良平はわざとらしい溜め息を吐いた。
そのリアクションが意味不明で目を向けると、良平は呆れかえったような顔をして俺に目を向けた。
「お前さ、その話されて何も言わなかったの?」
え……俺に何を言えって?
そう思った。