all Reset 【完全版】
階段を下りて行くと、親たちの賑やかな話し声が聞こえてくる。
いきなり盛り上がりすぎてて中に入りにくい。
ガラス抜きされたリビングの扉から中を覗くと、亜希のおばさんと、その横にかしこまって座っている亜希の姿が見えた。
「こんにちは。ごめんなさいね、バイトから帰ったばかりなのに」
顔を出すと、おばさんは気遣ってそんな挨拶をした。
「いえ、大丈夫ですよ」
そう返事をしながら亜希を見る。
亜希は少し俯き加減で、もじもじとしていた。
おばさんに促され、小声で「こんにちは」とだけ言った。
え……何?
どうしたわけ?
亜希の様子に頭の中で“はてなマーク”が浮かび上がる。
そんな空気の中……
「あ、そうそう。さっき昔のアルバム出しておいたから、亜希ちゃんに見せてあげなさいよ」
なんて、母親が話をふった。
「亜希、見せてもらってくれば?」
おばさんが俯いたままの亜希に顔を寄せる。
でも、亜希はおばさんに隠れるようにして黙ったまま……。
え……なになに?
ホント、どうしたわけ?
「……亜希? おいで?」
不思議に思いながら呼んでみると、亜希は俯いたまま立ち上がり、そろりそろりと歩いてくるのだった。