all Reset 【完全版】
大きな瞳は黒目がキラキラしてて、俺は洗脳されたみたいに目を逸らせなくなる。
「良平くんはね……亜希の……王子様だったんだよ?」
……え?
亜希の突拍子もない一言に、俺は反応することができなかった。
え……え?
王子?
今……流行りの?
「え……何、それ」
訊いてみると、亜希は微笑みながら恥ずかしそうに俯いた。
「あのね……亜希を、助けに来てくれたでしょ? だからね……亜希の、王子様なの」
あの日の出来事をまた思い出した。
スダの……あの事件。
亜希が言ってるのは確実にあの日の、あの出来事だ。
捜しに行った俺を“王子様”なんて、まるで子どもの発想だけど、その発想をどう受けとめたらいいのかわからない。
どういう……意味?
意味なんてない?
単純な俺はそんな言葉にすら過剰反応。
気持ちが昂っていく。
今日の様子がおかしかったのは、亜希がそんなことを思ってたからか……なんて急に思い込む。
一気に亜希を好きな気持ちが溢れ出しそうになった。
「亜希ね、きっと……忘れちゃってるんだと思う……」
囁くような小さな声で亜希はそう言った。