all Reset 【完全版】



――バコッッ!


「やべっ!」



そんな声が耳に入った時には、目の前でバスケの茶色いボールが飛び跳ねていた。


頭にいい具合にボールが命中……。


頭にジーンとした痛みを感じながら、わたしはその場に突っ立っていることしかできなかった。



「ごめん! だいじょぶ?!」



ボールを命中させたその人は、慌てて体育館から飛び出してきていた。



「あっ、はい! 大丈夫です。ごめんなさい」



頭はジンジン痛かったけど、恥ずかしい気持ちの方が大きかった。


顔を見られたくなくて、深々と頭を下げて謝る。



「いやいや、謝るの俺だし!」



そう言って苦笑いしたその人は、毛先にポイントパーマをかけたみたいな流れのきれいな髪をしていた。


夕方の太陽に照らされて、明るい茶色に見える髪。


なぜか前髪をちょこんとゆわって、おでこ全開だった。



「ほんとだいじょぶ?」


「あ、はいっ、大丈夫です」


「ならいいけどさ……」


『おーい! リョーヘイ。早くしろよ!』


< 171 / 419 >

この作品をシェア

pagetop