all Reset 【完全版】
――バコッッ!
「やべっ!」
そんな声が耳に入った時には、目の前でバスケの茶色いボールが飛び跳ねていた。
頭にいい具合にボールが命中……。
頭にジーンとした痛みを感じながら、わたしはその場に突っ立っていることしかできなかった。
「ごめん! だいじょぶ?!」
ボールを命中させたその人は、慌てて体育館から飛び出してきていた。
「あっ、はい! 大丈夫です。ごめんなさい」
頭はジンジン痛かったけど、恥ずかしい気持ちの方が大きかった。
顔を見られたくなくて、深々と頭を下げて謝る。
「いやいや、謝るの俺だし!」
そう言って苦笑いしたその人は、毛先にポイントパーマをかけたみたいな流れのきれいな髪をしていた。
夕方の太陽に照らされて、明るい茶色に見える髪。
なぜか前髪をちょこんとゆわって、おでこ全開だった。
「ほんとだいじょぶ?」
「あ、はいっ、大丈夫です」
「ならいいけどさ……」
『おーい! リョーヘイ。早くしろよ!』