all Reset 【完全版】
あんな奴、やめておけ。
本当はそう言いたかった。
でも、そう思いながら過ごして二ヵ月半、その付き合いにピリオドが打たれた。
理由は簡単だった。
亜希が奴に対して嫌気が差した。
それだけだった。
異常な執着心と束縛。
良平や俺との関係にも奴は口を出してきたらしい。
『どうしたらいい?』
そう訊いてきた亜希が求める言葉を、俺は何となく悟った。
だから、
『別れたほうがいいって、言ってほしいんだろ?』
それだけ言った。
それからすぐ、亜希は奴に別れを告げサークルにも頻繁に顔を出さなくなった。
それでよかったのか、俺にはよくわからない。
でも、どこかで満足だった。
きっと、亜希が誰と付き合おうと同じなんだと思う。
亜希にもらった写真をジャケットのポケットから取り出し、俺は無心のまましばらくそれを眺めていた。