all Reset 【完全版】
なぜか隣に居続ける例の彼女。
沈黙が続いて気まずくなり、立ち去ろうと煙草を地面に押し付ける。
そんなとき、横にいる彼女がふぅーっと溜めてたみたいに息を吐き出した。
意味深で、俺は彼女をチラ見する。
それに気付いたのか、彼女も俺をチラ見した。
「私……良平先輩に、フラれちゃいました」
彼女はそう言って、自分を慰めるみたいに“アハハ”と笑った。
わずかに心臓辺りがギュッと痛む。
「え……マジで?」
「はい。突然だったから……びっくりしちゃいました」
「そっか……」
良平が別れると言ってたのは、前々から聞いていた。
いつかは別れるだろうなんて思いながら、毎回笑って応えたのを思い返す。
彼女の口から聞いた、
二人の別れ。
その事実に、関係のない俺まで困惑していた。
亜希の日記。
彼女と別れた良平。
二つが重なって、俺は言葉が出なかった。