all Reset 【完全版】
「じゃあ、良平くんは亜希が好き?」
「……は、はいっ?!」
「好き?! 嫌い?」
漫画本を片手にベッドからぴょんと降りてきた亜希は、俺の放り出す足の間にいきなり正座して身を乗り出した。
答えを求めて楽しそうに俺の顔を覗き込んでくる。
突如問い詰められて、俺は思わず身を引いていた。
何……これって、この間の続き……?
こんなときに限って、俺は振り返るようにこの間のことを思い出していた。
亜希が言った、突拍子ナシ“王子”発言。
って……、
何で今! それ思い出すかなぁ俺!
「あ……いや……なんつーか、その……」
前面から強烈な視線を浴びて、目も合わせられなきゃ言葉も出てこない。
「嫌い……なの?」
「えっ?! いや、そうじゃないしっ!」
急に悲しい顔で目を伏せる亜希。
俺は慌てて否定の言葉を並べる。
「えっ、じゃあ好き?」
かと思えば、ころっと表情が明るくなった。
ついてけないスピード。
「ねぇ、良平くん?」
抵抗なしに亜希は俺を追い詰める。
近い……。
か、顔近いってぇーっ!