all Reset 【完全版】
やばい……。
極限の緊張状態に襲われてる。
顔は、昔と何も変わらない亜希。
『うっそ~! 騙されてやんのー! 良ちゃんバッカじゃなーい?』
とか、言い出しそうだし……。
こわっ。
あぁ……やっぱり意気地のない俺。
これだけ溜め込んできたのに、ここぞというときに素直になれない。
考えてみれば言う予定もなかった気持ちなわけで、ずっと封印するつもりでいた。
それを、今、ここで言う?
亜希は、ずっと幼なじみ。
今までも、これからも……。
そう思って諦めて、ひたすら隠してきた。
何かが、俺を止めてる。
それは多分、いや……
間違いなく秀の“存在”だ。
俺は……
一体どうしたいんだ?
「亜希は良平くんが好きなのになぁ……」
極り悪い俺のせいで、亜希の表情はどんどん曇っていく。
返事に困っている俺の中に、二人の自分が姿を現す。
右と左で全く違うことを囁き始める。
『早く好きだって言っちゃえよ! チャンス到来だろうが!』
『今は記憶がないだけ。戻れば、亜希が好きなのはお前じゃない』
うるさいっ、うるさすぎる!
わかってるっつーの!