all Reset 【完全版】
良平に別れると言われた彼女。
亜希に全てを忘れられた俺。
何だか似た者同士のような気がする。
彼女はかなり良平に本気だったらしい。
昔、亜希がそんな話で一人盛り上がっていたのを思い出した。
俺なんかと違って取っ付きやすい良平は、男女問わず広い付き合いをしていた。
「佐伯くんってカノジョいるの?」
なんて、俺に訊いてくる女もいた。
そこら辺のクラスメイトを差し置いて、良平は周囲の注目を集めているようだった。
おまけにバスケ部っていう特典付きだ。
女が放っとかない。
彼女も、その一人なわけだ。
二人きりで話をするなんて初めてに近いと思う。
正確にカウントすれば、良平にフラれたと言ってきたあの日が一度目で、今日が二度目になる。
話のネタは多分、そのことだろう。
「どうして……こうなっちゃったんですかね? って、思ったり……」
唐突に彼女は言った。
それは俺にもわからなかった。
流れというか、いつの間にか。
というのが一番適切な表現な気がする。
「私、遊ばれてたのかなぁ? 本命は亜希先輩で……私は遊び」
空を仰いで彼女は言った。