all Reset 【完全版】
何で……こんなことになってんだ?
秀が離れてく理由。
それは、気付かないうちに“あの日”から始まってた運命なのかもしれない。
何が正しくて、何が間違ってる?
それだってきっと、答えなんかない。
でも、
仕方ない、なんて、運命に流されたくはない。
今の俺がそんなことを思うのは、都合がいいか……。
そんなことを思いながら、俺はすっかり寒さを感じる街を歩いている。
日は完全に暮れて、弱い雨が地面を濡らし始めていた。
家まで迎えに行くって言ってるのに、
『大丈夫だから、待ち合わせしてみたい!』
なんて亜希は言い出した。
またも漫画の影響?
待ち合わせったって、そこら辺で顔を合わすくらい家も近い。
それなのに、わざわざ待ち合わせなんてことをしてる。
何でもやってみたい時期なのかもしれないけど、それはそれで心配が付きまとう。
スダのこともあったわけだし、誰にも付いてかないようにと厳重に注意した。
だから今だって、遅刻魔の俺が約束の十五分も前に待ち合わせ場所に着きそうになってたりする。
“はじめてのおつかい”に子どもを挑戦させる親の気分だ。
って……冗談に笑いそうになってる場合じゃない。
早く亜希の顔を見ないと安心できない。