all Reset 【完全版】
嘘から出たまこと
電話がきられても、俺はしばらくその繰り返される音を聞いていた。
自分のしたことに自分で腹が立って仕方ない。
『一応聞いといてやるよ』
なんて言われて内心ムカッときたけど、自分が悪いのは百も承知だった。
だから、何も反論できなかった。
秀が怒るのも無理ない。
むしろ、秀が亜希と一緒にいてくれたことに感謝しなくちゃいけないくらいだ。
気まずかった……。
いつだか、授業の遅刻でそんな嘘をついたことがあった。
あのときは、その場しのぎの冗談でそんな嘘を言った。
まさか、自分が本当にそんな状況に遭遇するなんて全く思いもしなかった。
今日のは嘘じゃない。
でも、信じてもらえてないかもしれない。
これじゃ、狼少年だ。
彼の焦った気持ちがわかる気分だった。
あのときあんな嘘をついたことを、俺は今更後悔していた。