all Reset 【完全版】
あの後、妊婦の女性とその子どもの女の子に付き添って病院へ向かった。
あの場所で陣痛が始まって、そんなときに偶然俺は通り掛かったらしく、病院に着いてから四時間ほどで無事子どもが産まれた。
その間、女性の四歳になる娘の女の子の側にいて、俺は病院から出ることができなかった。
女性の旦那は仕事で海外に出張していて来れないらしく、女の子が独りで待つはめになったからだった。
病院の誰かに任せて出ようとも思ったけど、なぜか懐かれて帰ることができなかった。
もちろんタイミングをみて、何度も亜希に電話をした。
でも、圏外で通じなかった。
どうしたのかと心配し出したとき、秀からのメールが入ってることに気が付いた。
【お前今どこだよ? 亜希と一緒にいるから。連絡しろよ】
メールを見て、安心したと同時に電話をかけるのが少し怖かった。
秀は、絶対怒ってる。
そう思うと落ち着かなかった。
人助けをしたってのに、俺の気分は全く晴れなかった。