all Reset 【完全版】
昔から、秀は自分の交遊関係を俺や亜希に教えることはなかった。
逆に、俺らも秀にその手の話を訊こうとしなかった。
たまに亜希が「噂で聞いたんだけど」とか言って、秀の付き合ってる女の話をしてきたことは何度かあった。
二人して仲がいいくせに“噂話”から情報を得るなんて笑える話。
でも、噂なんかに頼らなくても、何となく察する部分はあった。
別に行動を把握してたわけじゃないけど、感じ取れる何か……。
それは、亜希もきっと同じだと思う。
「別に、どうでもないけど」
しばらくして秀はそれだけを言った。
俺はその突っ込みどころのない返答に「あっそ」と一言返す。
でも、
俺は知っている……。
秀は……
亜希のことが好きだ。