all Reset 【完全版】



昔から、秀は自分の交遊関係を俺や亜希に教えることはなかった。


逆に、俺らも秀にその手の話を訊こうとしなかった。


たまに亜希が「噂で聞いたんだけど」とか言って、秀の付き合ってる女の話をしてきたことは何度かあった。


二人して仲がいいくせに“噂話”から情報を得るなんて笑える話。


でも、噂なんかに頼らなくても、何となく察する部分はあった。


別に行動を把握してたわけじゃないけど、感じ取れる何か……。


それは、亜希もきっと同じだと思う。



「別に、どうでもないけど」



しばらくして秀はそれだけを言った。


俺はその突っ込みどころのない返答に「あっそ」と一言返す。





でも、


俺は知っている……。





秀は……



亜希のことが好きだ。



< 23 / 419 >

この作品をシェア

pagetop