all Reset 【完全版】
え……?
告げられたとの話に、俺は返す言葉が見付からなかった。
それを訊くために……
秀は、先生に会いに……?
その事実に、驚き以上に切なさが込み上げる。
「何だか、変ね? 正反対のこと……二人が言うなんて」
先生の言葉に、俺はぐさっと刺された気になった。
亜希の回復を一緒に願ってたのに、今じゃ完全にすれ違ってる。
俺は……
やっぱり汚い……。
俺が秀だったら……きっと先生に同じことを訊いてたと思う。
記憶が戻ってほしいと思う秀の気持ちは、今の汚い俺にだって痛いほどよくわかる。
こうなってから……
秀は自分の気持ちに素直になれたんだ……。
「難しいわね? 人の気持ちって……」
先生は複雑な心境を口に出すようにそれだけを言った。
これから先……
俺らはどうなっていくんだろう?
亜希の記憶が戻っても、戻らなくても、昔には戻れない気がする。
築いた関係は、修復不可能なとこまできてるのかもしれない。
そうしたのは……
俺なのかもしれない。