all Reset 【完全版】
bye bye
「何やってんだろ……わたし」
亜希先輩が見えなくなって、わたしは力が抜けるように座り込んでいた。
手をついたベンチは少し温かくて、今の今まで亜希先輩がここにいたってことを実感させる。
わたしのこと……本当にわからないみたいな顔してた。
不思議な顔で見つめられて戸惑った。
記憶が無いって……
こんな風になっちゃうの……?
そう思った。
そんな亜希先輩に、わたしは最低なことを言った。
自覚してる。
どれだけひどいことを言ったか、わかってる。
でも、遣り場のない気持ちをどうすることもできないでいた。
だから、この気持ちを亜希先輩にぶつければ落ち着けるかと思った。
満足すると思った。
わたしは…最低だ……。
亜希先輩は何も悪いことしてない。
いつもわたしを応援してくれた…
亜希先輩……。
それなのに…わたしは……。
醜くて、ドロドロした、弱い心。
こんなだから、わたしは駄目なんだ。
人を好きになる資格も、好きになってもらえる資格も無い。
ブゥ、ブゥ、ブゥ――
気が付くと、置いていた手の横で置き去りにされた亜希先輩のスマホが震えていた。