all Reset 【完全版】
背後なら突然話し掛けられて、慌てて振り返る。
そこには、いつの間にか一人の男子学生が立っていた。
この人……。
「あんたさ、アイツと付き合ってたの?」
「え……?」
「まっ、そんなこと別にどうでもいいんだけどさっ」
こっちの気分を害するような笑いを振りまき、その人はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる。
「あんた……知ってる?」
「……何を、ですか?」
「結局さ……白石亜希はどっちの男が好きかってこと」
亜希……先輩?
どうして……
そんなこと……。
説明も順序もない話に、返す言葉が見つからなかった。
俯き、黙るしかない。
「知ってんならさ、教えてくんね?」
急に詰め寄られて、わたしの身体はかちかちに固まる。
変な威圧感。
何……
この人……。
「……知りません」
そう言うのでいっぱいいっぱいだった。
わたしの答えを聞いたその人は、無言のままさっさと立ち去っていった。