all Reset 【完全版】



無理に記憶を思い出させることは禁じられている。


でもそれより、亜希自身が自分の力で思い出すことをずっと望んできたのもあった。



誰かに吹き込まれる言葉はもろい。



自分の心が、想いが、何にも負けない力を持つ。



だから、それを今までずっと待ってきた。



すぐそこまで、昔の亜希は帰ってきている。



「教えてほしいの……」



願うような声に顔を上げる。


俺を見る亜希は、今までに見せたことないような壊れかけた笑みを浮かべていた。


素の笑顔を忘れてしまったような顔。


些細な衝撃を与えれば、二度と笑わなくなってしまいそうな顔。


その表情に混乱させられていく。


目一杯引っ張って、ちぎれる寸前まで耐えてきた感情の糸。



それが、ブチッと鈍い音と共に切れた。





「……秀…くん?」


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