all Reset 【完全版】
「……もうやめねぇ?」
数分の沈黙を、俺はその一言で破った。
秀の部屋に来たのはあの日以来だった。
「何を」
背後から素っ気ない返し。
この状態から何となく感じ取れるはずなのに、やっぱり秀ははぐらかそうとする。
「……こういう状態」
少し怯んだけど、俺は思ったままを言った。
亜希のことも、秀とこんな微妙な状態になってることも、俺にはもう我慢の限界がきていた。
過去を忘れた亜希は仕方ないとしても、秀と俺に関しては最悪な状態。
過去最高に険悪。
こうやって同じ空間にいても、張り詰めた感じがビンビンに漂ってる。
このままだと本当に修正がきかなくなる。
壊れてく一方だ。
それでも構わない、仕方ないとも思った。
でも俺は、やっぱり亜希も秀も失いたくないって思う。
だからせめて、秀とははっきりさせないと駄目だと思った。
来るとこまで……もう来てる。
腹を割って話さないと駄目だ。
「亜希さ……思い出すかもしんねぇよ、全部」
秀は今……
何を思ってるだろう……?