all Reset 【完全版】
見せない気持ち
「うまくいってる?」
日差しがキラキラとしている、春日和のオープンカフェ。
キャラメルラテの泡立ったカップを口にしながら、わたしは向かいの尋乃ちゃんにそう訊いた。
「えっ、あ、はい。何とかですけど」
「ならよかった」
「はい……」
「心配だったんだよね、アイツのことだから」
『アイツ』とは、良ちゃんのことだったりする。
「心配、ですか?」
「うん。馬鹿だし、お調子ものだし?」
何の後ろめたさもなく、けろっと言って笑ってみる。
良ちゃんがこの場にいたら『余計なお世話だ』とか怒るに違いない。
「あっでも、いい奴なんだけどね。浮気とか、絶対しないタイプだし。そこはわたしの保障付き! ただ、な~んか…抜けてるっていうかさ」
「ぷっ……。何か、亜希先輩、良平先輩と同じこと言ってる」
「え?」
……同じこと?
訳がわからなくて首を傾げると、尋乃ちゃんはクスクスと笑いをくすぶらせた。
「良平先輩も、亜希先輩のこと、そんな風に言ってましたよ」
はっ?!
思わず持っていたカップを置いていた。
「え、何それ。アイツに言われたくないんだけど」
と不服な顔をしてみせる。
それを見た尋乃ちゃんは今度は苦笑いすると、
「仲が良いからですよ。お互いのこと、そんな風に言えるなんて」
なんて可愛く笑った。
まぁ……腐れ縁だからね。
「わたしが良平先輩を好きになって、先輩に訊かれたじゃないですか? 好きなの? って。実はあのとき、亜希先輩に相談するの悩んだんです」
「え? どうして?」
「だって、幼なじみって言うし…仲良かったから。両想いなのかな? とか、亜希先輩が彼女だったり……とか、いろいろ思ってて」
えっ、えぇ?!
そう言われて、わたしは吹き出しそうになった。